Claude Code v2.1.76 — MCPの対話型確認と新フック、作業ツリーのスパース化
Claude Code v2.1.76はMCP elicitation対応、Elicitation/PostCompactなどの新hooks、worktree.sparsePaths、/effortを追加し、deferred toolやauto-compactionなど長時間運用の落とし穴をまとめて修正した中規模リリースです。
このリリースで何ができるようになるか
Claude Code v2.1.76は、MCPとhooksまわりの拡張を中心にした中規模リリースです。35項目の変更が入っており、運用で踏みやすい罠の修正と新しい統合の余地拡張が同居しています。
- MCPサーバがタスク実行中にユーザーへ構造化入力を求められるようになり、
Elicitation/ElicitationResultフックで応答を差し替えられる(MCP elicitation対応) worktree.sparsePaths設定でモノレポの必要ディレクトリだけをチェックアウトできるようになり、--worktreeの起動が軽くなる- 長時間セッションのdeferred toolスキーマ喪失や、auto-compactionの無限リトライといった落とし穴が解消される
つまり「MCPに対話的入力を組み込みたかった」「モノレポで--worktreeが遅くて避けていた」「長時間セッションで突然ツールがtype errorになるのに困っていた」のいずれかに該当する場合は、本版で運用が改善します。
あなたの開発フローはどう変わるか
MCPサーバを自作・運用しているチーム
MCPサーバからタスク実行中にユーザーへ構造化入力を求められる仕組みが入りました。MCPサーバはフォームフィールドやブラウザURLを介した対話ダイアログを発行でき、Claude Code側はそれをユーザーに提示します。ElicitationとElicitationResultの2つのhookが追加され、リクエストが飛んできた瞬間と、応答がサーバへ返る直前に割り込めます。
これでたとえば次の制御が可能になります。
- 特定MCPサーバからのダイアログを自動で却下、または既定値で自動応答
- 応答ペイロードをログに残して監査トレイルを作る
- 組織ポリシーに沿って応答値をマスク・書き換え
MCPサーバ単体でインタラクションを閉じさせず、Claude Code側がゲートキーパーになれる設計が実務上の価値です。
大規模モノレポで--worktreeを使うチーム
claude --worktreeの新設定worktree.sparsePathsで、git sparse-checkoutを経由して必要ディレクトリだけをチェックアウトできるようになりました。「このセッションではapps/webとpackages/uiだけあればよい」という切り出しが可能になります。
合わせて、--worktree自体の起動パフォーマンスも改善されました。git refを直接読み、リモートブランチがローカルに既に存在する場合はgit fetchをスキップするようになり、繰り返し起動時の体感が軽くなります。中断された並行実行で残ったworktreeの自動クリーンアップも入りました。
長時間セッションを常用するユーザー
3つの落とし穴が修正されています。ToolSearch経由で後から読み込まれるdeferred toolが、会話の自動圧縮(compaction)後に入力スキーマを失い、配列型や数値型のパラメータがtype errorで弾かれるバグの解消が筆頭です。動的にツールを増やす使い方をしていた人には直接効きます。auto-compactionの無限リトライに3回で止まるサーキットブレーカーが入り、ネットワーク瞬断などで暴走しかけていた挙動も止まります。PostCompactフックでcompaction後の整合性取り処理(落ちた情報の退避や重要メモリの再注入)を仕込めるようにもなりました。
Remote Control運用と複数セッション並走
Remote Control運用で3つの不具合がまとめて修正されました。サーバがアイドル環境を回収した際にセッションが静かに死ぬ問題、メッセージ連続投入時のバッチング、JWTリフレッシュ後の古いwork item再配送です。WebSocketの長時間切断からbridgeセッションが復帰できない問題も解消されています。あわせて-n / --nameフラグで起動時にセッション表示名を付けられるようになり、Remote Control側のタイトルも最初のプロンプトから自動生成される形に変わりました。
主な変更点
MCP elicitation対応と新フック
MCPサーバがフォームやブラウザURL経由で構造化入力を求められるようになり、Elicitation / ElicitationResultフックで割り込めます。
-n / --nameフラグ
起動時にclaude -n feature-loginのようにセッション名を付けられるようになりました。
worktree.sparsePaths設定
--worktreeでgit sparse-checkout経由の部分チェックアウトが可能に。あわせてgit fetchスキップなどで起動が高速化しています。
PostCompactフックと/effortコマンド
PostCompactフック: compaction完了直後に発火。落ちた情報の退避や重要メモリの再注入を仕込める/effortスラッシュコマンド: モデルのeffort levelをセッション途中で切り替え可能に
エンタープライズ向けセッション品質サーベイ
feedbackSurveyRate設定でサンプルレートを調整できる品質サーベイが入りました。
表示・通知の改善
| 改善点 | 何が変わるか |
|---|---|
| モデルフォールバック通知 | verboseモードの裏から常時表示に昇格、モデル名も人間可読に |
| ダーク端末のblockquote | dim表示をやめ、左バー + 斜体で視認性向上 |
/voice | ディクテーション言語を起動時に表示、非対応言語で警告 |
| tmux over SSHのクリップボード | 端末直書き込みとtmuxクリップボード統合の両方を試行 |
修正のうち影響が大きいもの
- deferred toolのスキーマ喪失: compaction後に入力スキーマが失われ配列・数値パラメータがtype errorで弾かれる問題を修正
- Bash権限ルールのマッチ漏れ:
Bash(cmd:*)形式の権限ルールが、クォート引数に#が含まれると一致しなかった問題を修正。「don't ask again」がパイプや複合コマンドで生の完全コマンドを表示する問題も修正 - auto-compactionの無限リトライ: 失敗時のリトライに3回で止まるサーキットブレーカーを追加
- Plan modeの再承認問い合わせ: 一度承認した後にもう一度承認を求められる不具合を修正
Remote Control関連の堅牢化
- サーバがアイドル環境を回収した際にセッションが静かに死ぬ問題
- メッセージを連続投入してもバッチ処理されず1つずつキューされる問題
- JWTリフレッシュ後に古いwork itemが再配送される問題
- WebSocketの長時間切断からbridgeセッションが復帰できない問題
小粒だが日常的に刺さる修正
/voiceがnpmインストール版のWindowsで動かない/exportが成功メッセージでファイル名だけを表示しフルパスを出さない- skillを
model:frontmatter付きで呼び出すと1Mコンテキストセッションで「Context limit reached」の誤検知 - 非標準モデル文字列で「adaptive thinking is not supported on this model」
- LSP pluginがmarketplace reconcileより先にLSP Managerが走るとサーバ登録に失敗
- transcriptがテキスト選択後に新メッセージへ自動スクロールしない
- ログイン方法選択画面でEscキーで抜けられない
- 完全一致で打ってもsoft-hiddenスラッシュコマンドが見つからない
- MCP再接続スピナーが接続成功後も残る
- [VS Code]
.gitignoreのカンマを含むパターンが@メンションのファイルピッカーで拡張子ごと除外されていた
仕様変更
--plugin-dirは1パスのみを受け付ける形に変更(サブコマンド対応のため)。複数指定は--plugin-dirの繰り返しで
エージェント運用の主導権を外側に渡しつつあるリリース
この版の変更を「使う側の体験」ベースで並べ直すと、Claude Codeがエージェント運用の主導権をより外側に渡しつつあるリリースと読めます。
MCP elicitation + 対応hooksは、ツール呼び出し中に追加の入力を求めるというMCPの基本挙動をClaude Code側で監査・介入可能にする仕組みです。MCPサーバ単体でダイアログを完結させる設計に対し、「Claude Codeを経由する以上、組織ポリシーで管理する」という姿勢が明確になっています。
**worktree.sparsePaths**は、モノレポでAIエージェントを走らせる際の現実的な痛点「関係ないツリーまでAIが見てしまう / 重くなる」にsparse-checkoutで応えた形です。AIに渡すコンテキストの物理境界をリポジトリ構造側でコントロールするアプローチです。
PostCompactフックと-nフラグは、長時間・複数セッションをまたぐ運用での状態可視化と後処理を強化する方向の追加です。どれも単体の派手さはないものの、「どのセッションで、何が、いつ圧縮され、どう引き継がれたか」を外側から把握できる状態に一歩近づけています。
まとめ
- MCPサーバを自作・運用しているなら推奨: elicitation対応とフックで機能設計と監査の幅が広がる
- 大規模モノレポで
--worktreeを使うなら推奨:worktree.sparsePathsで起動と容量が改善 - 長時間セッション常用なら推奨: deferred toolスキーマ喪失とauto-compaction無限リトライの修正が効く
- Remote Control運用なら推奨: 死活管理とバッチング・JWT処理の改善
派手な1行キャッチのある版ではないものの、35項目の変更の多くが「長く使う人ほど効く」性質の改善に寄っています。MCPを自作している開発者、モノレポで--worktreeを使っている開発者、Remote Controlを常用している開発者は、このタイミングで更新しておく価値がある版です。
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