Claude Code v2.1.84 — PowerShellツールのプレビュー公開と40項目の地固め
Claude Code v2.1.84はWindows向けPowerShellツールのopt-inプレビュー、TaskCreated/WorktreeCreateフックの追加、IME入力やキーチェーン関連の不具合修正など40項目をまとめた地固めリリースです。
このリリースで何ができるようになるか
Claude Code v2.1.84は新機能15件・修正14件・改善11件の合計40項目を含む中規模リリースで、Windows・エンタープライズ・アクセシビリティを同時に前に進めた地固めの版です。
- WindowsでネイティブのPowerShellツールがopt-inプレビューで使えるようになり、WSLバッシュ依存から離れたい層に試験導入の道が開く
TaskCreatedフックとHTTP型WorktreeCreateフックが追加され、外部サービス連携型のオーケストレーションを書きやすくなる- ネイティブターミナルのカーソルがIME入力キャレットを追わない問題が修正され、CJK入力(日本語・中国語・韓国語)の体感が大きく改善する
つまり「Windowsでbash/cmd.exeの選択肢に詰まっていた」「タスク作成を外部トラッカーに同期したかった」「日本語入力で文字化け・位置ズレに苛立っていた」のいずれかに該当する場合は、本版で運用が変わります。
あなたの開発フローはどう変わるか
Windowsネイティブ環境で常用しているチーム
これまでWindowsでClaude Codeを使うときは、WSL経由のbashかcmd.exe相当の簡易実行しか選べませんでした。本版でネイティブのPowerShellをツールとして登録できるopt-inプレビューが入りました。公式リファレンス(tools-reference#powershell-tool)に具体的な使い方が記載されています。
opt-inという設計は、まずヘビーWindowsユーザー向けの早期検証枠として切り出したい意図が読み取れます。PowerShellはオブジェクト指向パイプラインや豊富なモジュール(Get-ChildItem、Invoke-WebRequest等)を持ち、bashとは別モデルの振る舞いをAgent側に安全に受け渡す必要があるため、プレビュー期間で挙動を詰めてから一般公開、という段取りに読めます。本番ワークフローにすぐ組み込むよりも、既存bashベースの運用と並走して挙動差を観察するのが実務的です。
合わせて、ドライブルート級削除(C:\ C:\Windows等)に対する危険検知が強化され、VS Codeにはレート制限警告バナー(使用率とリセット時刻つき)が追加されました。
外部サービス連携型のオーケストレーションを組むチーム
フック周りで2件の追加があります。
TaskCreatedフック:TaskCreate経由でタスクが作られたタイミングで発火。タスク作成を外部トラッカー(Linear、Notion、Jira等)に同期する運用を仕込みやすくなりますWorktreeCreateのtype: "http"サポート: レスポンスJSONのhookSpecificOutput.worktreePathを返すことで、HTTPエンドポイント側がworktreeのパスを決定できるようになりました。リモートワーカーでworktreeを切って返すタイプの自作サービスが書きやすくなります
HTTP型フックの拡張は、Claude Codeをローカル完結から外部サービス連携型のオーケストレータに寄せていく動きの一環です。
Bedrock / Vertex / Foundry経由の企業ユーザー
3rdパーティ配信でClaude Codeを動かしている企業向けの追加です。
| 環境変数 | 用途 |
|---|---|
ANTHROPIC_DEFAULT_{OPUS,SONNET,HAIKU}_MODEL_SUPPORTS | effort / thinking能力の検出結果を上書き |
ANTHROPIC_DEFAULT_{OPUS,SONNET,HAIKU}_MODEL_NAME | /modelピッカーに出すラベルをカスタマイズ |
ANTHROPIC_DEFAULT_{OPUS,SONNET,HAIKU}_MODEL_DESCRIPTION | 同上、説明文 |
Bedrock / Vertex / Foundryはモデルの提供タイミングやメタデータがAnthropic直提供と微妙にズレるため、Claude Codeの自動検出が追いつかず思考モードが有効にならない、/modelの表示が分かりにくいといった運用課題がありました。これを管理者側から静的に補正できる形になります。allowedChannelPlugins管理設定でチャネルプラグイン許可リストも定義可能になり、x-client-request-idヘッダがAPIリクエストに付与され、タイムアウト調査時にAnthropic側ログと突き合わせやすくなりました。
日本語(CJK)で書く開発者
ネイティブターミナルのカーソルが入力キャレットを追わない問題が修正されました。IME合成(CJK入力)がインラインで描画され、スクリーンリーダーも位置を正しく追えるようになります。バージョン系列ごとに何度か再発してきた領域で、本版はスクリーンリーダー対応まで含めて整えたのが特徴です。日本語ユーザーの体感が明確に変わる修正です。
長時間セッション・MCP運用
CLAUDE_STREAM_IDLE_TIMEOUT_MS環境変数でストリーミングのアイドル監視しきい値(デフォルト90秒)を変更可能。低速ネットワーク環境やトンネル越しの運用で切断誤検知を抑えられる- 75分以上のアイドル後に
/clearを促すプロンプトが出るように。古いセッションでの無駄なトークン再キャッシュを減らす狙い - MCPツール説明・サーバ指示が2KBにキャップされ、OpenAPIからの自動生成サーバがコンテキストを食い潰す事故を防ぐ
- ローカルconfigとclaude.ai connectorsの両方で設定されたMCPサーバは重複排除され、ローカル設定が勝つ
ToolSearchを有効にしてもグローバルなシステムプロンプトキャッシュが効くように
UI / 入出力の細かい改善
- 深いリンク(
claude-cli://)はユーザーが優先設定したターミナルで開く - ルール・スキルの
paths:フロントマターがYAMLリスト(複数glob)を受け付ける - バックグラウンドbashが45秒で「対話プロンプトで固まっているかも」通知
- トークン数1M以上が
1512.6kではなく1.5m表示に /statsのCtrl+Sスクリーンショットが全ビルドで動作、16倍高速化
主な変更点
Windows / プラットフォーム拡張
- PowerShellツールのopt-inプレビュー(公式リファレンス参照)
- ドライブルート級削除(
C:\C:\Windows等)の危険検知強化 - VS Codeにレート制限警告バナー(使用率とリセット時刻つき)
フック2種の追加
TaskCreatedフック:TaskCreate経由でタスクが作られたタイミングで発火WorktreeCreateのtype: "http"サポート: HTTPエンドポイント側がworktreeパスを返却可能
モデル能力の上書き環境変数(Bedrock / Vertex / Foundry)
ANTHROPIC_DEFAULT_{OPUS,SONNET,HAIKU}_MODEL_SUPPORTS(effort / thinking能力上書き)_MODEL_NAME、_MODEL_DESCRIPTIONサフィックスでピッカー表示をカスタマイズallowedChannelPlugins管理設定で許可リスト定義x-client-request-idヘッダ付与
ストリーミング・セッション寿命の調整
CLAUDE_STREAM_IDLE_TIMEOUT_MS(デフォルト90秒)- 75分以上のアイドル後に
/clearを促すプロンプト
MCPまわりのハウスキーピング
- ツール説明・サーバ指示を2KBにキャップ
- ローカルとclaude.ai connectorsの両方で設定されたサーバは重複排除(ローカルが勝つ)
ToolSearch有効時もグローバルなシステムプロンプトキャッシュが効く
UI / 入出力の細かい改善
- 深いリンク(
claude-cli://)はユーザーが優先設定したターミナルで開く - ルール・スキルの
paths:フロントマターがYAMLリスト(複数glob)を受け付ける - バックグラウンドbashが45秒で停滞通知
- トークン数1M以上を
1.5m表示 /statsのCtrl+Sスクリーンショットが全ビルドで動作、16倍高速化
修正
| 分類 | 修正内容 |
|---|---|
| 入力系 | 音声push-to-talkのキー漏れ・転写位置ズレ / 上下キーがフッター選択時に効かない / multiline入力でCtrl+Uが行境界で止まる / マウスイベントが検索にmouse文字列を差し込む |
| 日本語入力 | ネイティブターミナルのカーソルが入力キャレットを追わない問題を修正。IME合成(CJK入力)がインラインで描画され、スクリーンリーダーも位置を正しく追えるように |
| キーバインド | "ctrl+x ctrl+k": nullで既定のチョードバインドを解除してもchord-waitに入ってしまう不具合 |
| 権限 / 設定 | Edit(.claude) allowルール環境での「セッション中の自己設定の編集許可」が残らない問題 |
| macOS | キーチェーン一時読み取り失敗で「Not logged in」が散発的に出る問題 |
| 起動 / 安定性 | 部分クローン(Scalar / GVFS)リポジトリで大量blob取得が走る起動性能問題 / 大規模編集ファイルの添付スニペット生成ハング / コアツールのコールドスタート競合でEdit / WriteがInputValidationErrorになる問題 |
| MCP | サーバ再接続時のtool / resourceキャッシュリーク |
| ワークフロー | 外側セッションが--json-schemaを使っていてsubagentもschema指定するとAPI 400 |
改善
- macOS起動を約30ms高速化(
setup()をスラッシュコマンド・エージェントロードと並列実行) claude "prompt"+ MCPサーバの起動が、全サーバ接続を待たずREPLが即レンダリング- Remote Controlの「Not yet enabled」を具体的な理由表示に
- p90プロンプトキャッシュ率改善
- 長時間セッションでのスクロールトップリセット減少
- アニメーションツール進捗のチラつき低減
owner/repo#123形式のみクリッカブル(裸の#123は自動リンクしない)- 認証構成で利用不可のスラッシュコマンドは表示せず非表示
方向性を3軸で読む
「大きな1トピック」ではなく、中小40項目の集合で構成されています。トピック別に並べると、Claude Codeが今どの方向に寄せているかが見えてきます。
| テーマ | 含まれる変更 | 解釈 |
|---|---|---|
| プラットフォーム拡張 | PowerShellツール(opt-in)、Windowsドライブルート保護強化、VS Codeレート制限バナー | Windows / VS Codeをbash / iTerm系と同格に引き上げる地ならし |
| エンタープライズ配信 | ANTHROPIC_DEFAULT_*_MODEL_*群、allowedChannelPlugins管理設定、x-client-request-id | Bedrock / Vertex / Foundry運用時の制御点を増やす方向 |
| 外部連携フック | TaskCreated、WorktreeCreate HTTPサポート | ローカル完結からオーケストレータ型の利用に寄せる |
| コンテキスト効率 | MCP 2KBキャップ、MCP重複排除、ToolSearch併用時の全体キャッシュ、p90プロンプトキャッシュ率改善 | トークン単価・応答速度の地味な底上げ |
| 日本語 / アクセシビリティ | IMEカレット追従修正、emoji背景抜け修正 | CJKユーザーと支援技術ユーザーの体験改善 |
マイナーリリース初期は大型機能が先行し、中盤になると「機能の外周(プラットフォーム、エンタープライズ、アクセシビリティ)」が厚くなる傾向があります。v2.1.84は典型的に外周の整備リリースで、「中盤で外周を広げ、後半で個別の粗を潰す」というリズムが読み取れます。
まとめ
- WindowsネイティブでClaude Codeを常用しているなら推奨: PowerShellツールはopt-inで段階導入の余地あり
- 日本語 / CJKで書く開発者なら推奨: IMEカレット追従修正で入力体感が変わる
- Bedrock / Vertex / Foundry経由の企業利用なら推奨: モデル能力上書きenv、
allowedChannelPlugins、x-client-request-idが揃う - MCPヘビーユーザーなら推奨: 2KBキャップ・重複排除・
ToolSearchとの両立。既存サーバの説明文が2KB超でないか確認
普段の運用で引っかかっていた細かな摩擦が一度に減るタイプの更新です。更新はclaude updateで取得できます。IME周りと起動時間の改善は適用直後から体感しやすいので、特に日本語で書く開発者は更新後にエディタで長文プロンプトを打って挙動を確認すると良さそうです。
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